こことは違う世界―
こことは違う人々―
毛皮に覆われた者達の棲む世界―
「エヴァーブルー」―


side-リグ


「けっこうあっさり許してもらえたね……」
「そりゃ、お父さんはぼくの性格もミヤの性格も知っているからね、止めても無駄だって思ったんだよ」
「そうそ、リグはしつっこいからねぇ……」
「そりゃミヤだって!」
「あんたたちってさぁ〜、結婚してもやってること変わらないねぇ〜」
ぼくの肩の上にとまっている肉食こうもりのギィがあきれたように言う。
ぼく達はあれからすぐに結婚式を挙げ、三日ほど新婚生活を楽しんだ後に旅に出た。
その間も、ずっとミヤとヤるコトはヤっていたけど……。
それからもう五日。ここはぼくも来た事の無い森の中。森の脇には村もあるけど、奥はとても深く、地元の人もめったに立ち寄らない。
「あんたねぇ、これは私とリグの旅なのよ?なんで付いて来てるのよ!」
「ちょ、ちょっとやめておいよ!」
ミヤがギィの羽をつかんで引っ張っている。ちょっとひどいよ……。
「いーじゃないのっ!あたしはリグのペットなんだから。ね〜、リグぅ〜?」
ぺ、ペットって……。そんなこと思ったことは無いんだけどね……。
「ペットならペットらしくしなさいっ!妻である私のほうが上なんだからっ!」
「いやだよ〜、あたしはリグだけのペットなんだから〜」
あ、頭痛いよぉ……。
「「リグぅ!何とか言ってよぉ〜!!」」
ノーコメントです……。
いつも二人はこんな感じ。仲……って言うか、相性が悪いのかな?
「リグ〜、お腹すいた〜……」
「お腹すいたって、まだお昼前だよ?」
「すいた、すいた、お腹すいたぁ〜っ」
あぅ、相変わらずわがままなんだから……。でも、そんな所もミヤらしくって好きなんだけどね。
「しょうがないなぁ……携帯食料は限りがあるし、この森で何かとって食べますか……」
「うん、待ってる」
「ミヤは火を熾して、ここから動かないでね。ギィはぼくと一緒に来てくれる?」
「わかったよ、リグぅ」
ぼくだって知識が無いわけじゃないけど、やっぱり木の実やキノコに関してはギィのほうが一段上の知識を持っている。と言ってもそれだけのためにギィをつれてきたわけじゃないんだけど……。
「あ、リグぅ、あのキノコは食べられるよ。似てるけど、隣の奴は取っちゃダメだよ、あれは毒だからね。あ、プロポレピレスだ、捕まえて、捕まえて、あれ美味しいんだよね〜」
「ね、ギィ……ギィはミヤのこと、嫌い?」
ぼくは捕まえたプロポレピレスを処理しながらギィにたずねる。
「嫌い……じゃないよ。それどころか好き。ちょ〜っと、わがままだけどね」
くすっ、ぼくと同じだ。
「でもね……ちょっとだけ……」
「たぁ〜すぅ〜けぇ〜てぇ〜……」
何?今の間の抜けた声……。おかげでギィの最後の言葉が聞けなかったよ……。って、そんな事言っている場合じゃない気もする。
「ギィ、今の声、どっちだった?」
「え、えと、確か……こっち」
ぼくはギィの先導で声のした方に向かった。でも、何か聞き覚えのある声だったような……。
「うにぇ〜、助けてよぉ〜……」
うわ、何これ、ロープがぐっちゃぐちゃで、手と足と口の部分がかろうじて出ているだけだよ。そして宙吊り。と言うよりも、何が起こったんだ?これ?
「そこの獣、ロープ切っちゃってもいい?」
「いいよぉ〜、助けてよぉ〜」
ぶつ、ぶつ、ぶつ、ぶつ……。
一体どうなってるんだ?切っても切ってもロープが出てくる……。
「ぷっはぁ〜、助かったぁ〜……」
「ミグ……やっぱり君か……」
「あ、リグじゃん、やっほ〜!」
「やっほ〜、じゃない!あれからぼくがどれだけ苦労したと思っているんだ!?」
「いいじゃん、いいじゃん、その分あたいは苦労しなかったんだから」
「よくないっ!」
あ〜あ、ミグだったのかぁ〜……どうりで聞いたことのある声だと……。でも、ほっとけないしなぁ〜……。
「リグぅ〜、この獣誰ぇ?」
「ああ、この人はミグって言う……」
「うわあああああぁ〜っ!!」
いきなりミグが大声をあげる。
「ど、どうしたの?」
「こ、コウモリがしゃべってるぅ〜!!」
あ、そうか、驚くわな、普通……。
でもミヤは別に驚かなかったような……ミヤだからかな?
「泥棒さんだよ、で、こっちが肉食こうもりのギィだよ……ミグさん……」
「なな、な、なんで……」
「いーじゃないの別に……ね、リグぅ」
「そ、世界にはぼく達の理解できないような不思議がまだまだあるってこと、それを見て回りたくてぼくは旅をして……」
ぐきゅるるるるぅ〜……。
ぼくの話をさえぎるようにミグのお腹が盛大に鳴った。
「あ、あははは、また何も食べて無くって……」
「わかるよ、大体は……」
「ねぇ、リグぅ、この獣も一緒に来てもらったら?みんなで一緒にお昼食べようよぉ」
「そだね、ミヤも待ってるし、いこっか?ミグも、一緒に食べよう?でも、お礼はいいからね、絶対!」
「いいじゃないの、あたい、リグのこと、忘れられなかったんだからぁ……」
ああああああ、くらくらする……どうしよう……。
ま、しょうがないか、ほっとけないし……。

「お〜そ〜い〜……」
「ごめんごめん、すぐ作るから……」
ちゃっちゃっちゃ、と鍋に水を張って、キノコとお肉を入れて塩で味を整えて煮込むだけ、の簡単スープ。でも、結構美味しいんだ、コレが。
「で、その獣はだぁれ?」
……なんか、怖いんですけど、笑顔が……。
「あ、ああ、ミグって言う行き倒……」
「リグのセックスフレンドのミグちゃんで〜す」
ぴしっ……。
何か……音がしたんですけど……。って言うか、セックスフレンドって……。
「リぃ〜グぅ〜……ど〜ぉ言う事ぉ〜?」
ひいぃいい、怖いよぉ〜……。
「ああああああ、経緯を始めから話すから、ちょ、ちょっと落ちついて……」
ぼくはあの時の事、そして、さっきの事をかいつまんで話した。
「ふぅ〜ん、なるほどねぇ……ま、リグは嘘をつける性格じゃないしねぇ……」
う……でも、余計な事は黙ってるんですけど……ルカ様の事とか……。
「と、言うことは結局、この獣が全ての元凶って事、なんだよねぇ〜」
「リグ、酷いよお、あたいの事、捨てるの?」
捨てるも何も、そんなんじゃないでしょ?ぼく達は……。
「あたい、リグの事こんなに愛しているのにい……」
ミグが体を摺り寄せてくる。悪い気はしないけど……ミヤが怖い……。
「はい、離れて離れて……」
うぅ、ミヤぁ〜……。
「何よ、あんた、リグの何なのよ!」
「私はねぇ、リグの妻、よ!」
「え!?結婚……してたの?」
ぼくは無言で首を縦に振る。はっきりしておけばこれ以上こじれない……と思う……。
「そんなぁ〜……あたいの事、遊びだったのねぇ〜!!」
ああああ、頭痛いよぉ〜……。
「でもぉ、リグが好きって獣、沢山いると思うよぉ〜?だぁってリグ、カッコ良くって優しいんだもん」
ギィ……頼むからこれ以上ミヤを刺激しないで……。
「あ、煮えたよ、早く食べよっ!」
「話をすりかえないでっ!!」
あぅ、やっぱりダメ?
ぐぎゅるるるる〜……。
と、その時ミヤとミグのお腹が同時になった。
「あ、あははは……や、やっぱり食べよっ!」
た、助かった……かな?
「ほらっ、リグ早くっ!」
あととと、はい、はい。
お皿にスープをよそって配ってミヤとミグに配る。ギィにはお肉だけ。
「おかわりッ!」
は、早い……相変わらず、ミグは食べるのが早い……。
「はい、はい……」
「私もおかわり〜」
ミヤも良く食べる……。ぼくの食べる暇が無いんだけど……。
「おかわりッ!」
「私もっ!」
ああああああ、多めに作っておいて良かった……どんどん無くなっていくぅ〜……。
「所で、このお肉、何?」
十杯ほど食べた所でミグが聞いて来た。なんだ、知らないで食べていたのか……。
「プロポレピレス」
「へ!?」
「プロポレピレスだよ?知らない?」
「う、こ、これが?」
「プロポレピレスって言うのは体長三十センチほどで紫色の粘液質の……」
「もういい!もういい!聞きたくないっ!!ご馳走さまっ!!もういらないっ!!」
美味しいのに……。確かに生きてるときの見た目はちょっとアレだけど、さ……。
「こんなに美味しいのにねぇ……」
ミヤとギィは気にしないで食べている。ぼくもだけど……。
「ふわわわわ……何だか眠くなってきちゃった……」
「あ、あたしもぉ……」
え?ミヤ?ギィ?何?何で?
「おやすみぃ……」
ちょっと、何?二人ともいきなり眠っちゃうなんて……。
「一体どうし……あ、あれれ??」
ぼくは立ち上がろうとしたんだけど、ふらふらして立てない……。毒キノコ?ううん、そんなはずは無い、ギィが間違えるなんて……。
「み、ミグ……君は大丈夫なのかい?」
「大丈夫だけど……ちょっと暑くなってきちゃったかな?」
そういいながらミグは着ている物を脱ぎ始めた。
「み、ミグ、脱がない方が……」
ぼくは慌てて目をそらす。
「だぁって、脱がなかったらエッチできないじゃない」
「え、エッチって……」
「リグって本当にお人よしだねぇ……そんなリグがあたいは好きだよ」
「え……?」
ここにきて、ようやく気づいた。これはミグが仕組んだ事だって。
「ちょ、ちょっと……なんでぼくなんかと……」
「あたい、気に入ってるんだよ、リグの事。そうじゃなかったら、わざわざエッチなんかしないよ〜」
き、気に入られてるっていうのは悪い気はしないけど……やり方がぁ〜……。
「だからね、しよっ!」
あぅ、あぅ……ミヤぁ……ああ、幸せそうに寝てるぅ〜……。
徐々ににじり寄ってくるミグ。ぼくは後ろに逃げるんだけど、体に力が入らない……。
「捕まえた!それっ!!」
「わああっ!」
ミグに一気にズボンを下ろされた。
「あはっ、もうカチカチだね。期待してるんだぁ〜」
うぅ〜……節操が無いよ、ぼくの下半身……。
「なんてねっ、弛緩剤と一緒に媚薬も混ぜておいたんだ。もう我慢できないでしょ?」
あうぅ〜……ミグってばぁ……でも、ホントに辛くなってきた。
「ね、舐めて……」
ミグがぼくの目の前で花弁をひろげて見せる。ぼくは甘酸っぱく、くらくらする香りにあらがう事ができずに秘所に舌を這わす。
「あ、うんぅ、いいのぉ……」
舐めれば舐めるほどあふれ出てくる甘い蜜をぼくは夢中でむさぼった。ミグの蜜を舐めるたびにぼくのおちんちんが心地よい切なさに悲鳴を上げた。
「はふぅ……み、ミグぅ……ぼく、ぼくぅ……」
我慢できずに懇願する。多分、とっても情けない顔をしているんだと思う。
「ふふ、いいの?可愛い奥さんに怒られない?」
「あ、あうぅ……」
そういいながら寝ているミヤの顔をこっちに向ける。い、意地悪ぅ……。
「そ、そんな……ぼく、ぼくもうぅ……」
何とか自分で処理しようと右手を動かすけど、まったく力が入らなくって全然刺激を与えられない。
「ああっ、してあげるから泣かないで、ね?」
ミグがぼくの頬をぺろりと舐める。涙が出ていたんだ、ぼく……。恥ずかしい……。
「じゃ、あたいに任せて……何も考えないで……」
ぺろっ、こりっ……。
「ひゃうんっ!!そ、そこってぇ……」
乳首。ミグがぼくの乳首を舐めてる……。
何なの?ぼく、男なのに、ここがとっても気持ちいい……。男の獣でもここって感じるんだ……。
「何も考えなくっていいよ、全部あたいがしてあげるからね……」
ぼくにはもう、ミグが何を言っているのか理解できなかった。気持ちいい、もっと気持ち良くして欲しい……。それだけしか考えられなくなっていた。
「うふふ、リグってば、かわいい……」
ミグの舌がゆっくりと胸から下の方に向かっていく。そしてミグの舌がぼくのおちんちんの先端にちょんっ、と触れた。
「あっ、あああああぁ〜っ!!」
びゅくびゅくびゅくびゅく、びゅくん、びゅくん、びゅくん、びゅくん……。
それだけで、ぼくのおちんちんは自らの顔に届くほど勢い良く、大量に射精した。
今のぼくにとって顔面に降り注いだ自らの精液でさえも恍惚の材料でしかない。
「あは、ちょ〜っと焦らし過ぎちゃったかな?でもまだカチカチ……まだできるよね?」
ぼくは無言で頷く。まだ、気持ち良くしてもらえるんだ……。
ミグがぼくの顔に降り注いだ精液を丹念に舐め取っていく。それだけで又射精しちゃいそうな気分になってしまった。
「じゃ、入れるね?」
ぼくは頷く。
ミグはぼくのおちんちんを花弁にあてがうとゆっくりと腰を落とした。
「はっ、あ、あ、ああ〜っ!!」
びゅくびゅくびゅく、びゅくん、びゅくん、びゅくん……。
奥まで到達した途端、ぼくは再びイッってしまった。
「もう、早いんだから……このまま動くよ?」
ぐちゅっ、ぐちゅっ、ぐちゅっ……。
ミグがゆっくりと、しかし単調にならぬよう緩急をつけて腰を上下に動かす。
「あぁ、ミグ……ミグぅ……」
本当にもう何も考えられない。腰から下が溶けちゃったみたいに気持ちいい。頭の中がスパークして真っ白になってる。
「またっ、また出ちゃッ!」
にゅぽん。
おちんちんがミグから抜ける。いや、ミグがおちんちんを抜いた。
「あぁ……らんれぇ……」
もう舌も回っていない。
「リグってば、早いんだもん、もっと満足させてよ」
そう言うとミグは自分の髪を縛っていたリボンを外すと、ぼくのおちんちんに結びつけた。
「それじゃ、もう一度、いくよ?」
ずにゅっ……。
「はあぁぁん……」
ぼくは思わず切ない声をあげる。焦らされた事でおちんちんがさらに敏感になってる。
「はぁ、らめ、らめぇ……ミグぅ……ああっ!」
ずくん、ずくん……。
ぼくはイッたはずだった……。しかし、結び付けられたリボンのせいで射精することができない。
「ら、らんれぇ……ほぐ、ほぐぅ、へんりらっちゃーよぉ〜……」
気持ちいいのに最後までイけない。熱が体中を駆け巡り、今にも爆発しそうだ。
「あんっ、もう、もうちょっとだからがんばってよぉ……」
ミグの腰の動きがさらに速くなる。
「は、はやくぅ〜……」
「もう少し、もう少し……はんっ!一緒に、リグ、一緒にぃ〜!!」
ミグがおちんちんのリボンをするっと外す。
「あ、うああああああぁっ!!」
「イくぅ〜っ!!」
びゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅく、びゅくん、びゅくん、びゅくん……。
我慢に我慢を重ねられたぼくのおちんちんは戒めを解かれると同時に通常では考えられないような快感と共に大量の精液をミグに中に放った。
それはまるで体中の全てがおちんちんを通ってミグの中に入っていくような、そんな感覚だった。
もう、何も出せない……。ぐったりと倒れ込んだぼくにミグがキスしてきた。
「!?」
ミグから口移しで何かを飲まされた!
「な、何を……」
「解毒剤……少し眠くなるから、ゆっくりとお休み……」
そしてぼくの意識は暗闇に飲み込まれた……。

ずきん、ずきん……。
頭が痛い……。
ぼくはさっきまでのことを回らない頭で整理した。
ミグに薬を飲まされてエッチしちゃって……。凄かったなぁ……って、いけない、いけない!
それからまた何かを飲まされて……眠気が……。
!!荷物!!
ぼくは上半身を起こして荷物を探した。
「あ、だめだよ、まだ寝てなくっちゃ……」
「え?み、ミグ?」
ぼくはミグの膝枕で寝ていたみたい。ぼくとミグは服をちゃんと着ている。ミグがまた寝ている間に着せてくれたみたい。ミヤとギィは……まだ寝てる……。
「ミグ……荷物は……いらないの?」
言ってからしまった!と思った。やっぱり頭が回っていないらしい。傷つけちゃったかな……。
「うん、いらないの……ごめんね……」
その時ぼくの額に一滴の水が……。雨?ちがう、ミグの涙だ!
「ごめん、変な事言って、傷つけちゃって……」
「うぅん、違うの、そうじゃないの……変な事しちゃって……本当にごめんね……」
変な事って……エッチの事?
「リグってば、凄く優しくって、助けてもらったのに泥棒したあたいの事怒らなくって……二度目、助けてもらったのがリグだってわかった時、殴られるとか犯される事くらいは覚悟してたんだよ……。なのに……」
「仕方なかったんでしょ?生きるために……怒ってないって言ったら嘘になるけど……」
「あたい……そんなリグが好きになっちゃったんだ……リグにだったら一生ついていってもいい、そう思ったんだ……。だけど、もうリグにはミヤがいた……」
ぽろぽろぽろぽろ……。
ミグの涙が真珠の粒のように輝きながら落下していく。
「だからって、こんな事……ごめんね……本当にごめんね……」
ぼくはふらふらする体を起こして、ミグの涙を舌で舐め取る。さっきミグにしてもらったように……。
「気にしなくってもいいよ、ぼくも、気持ち良かったんだし……」
「許して……くれるの?」
「うん……でも、ミヤには内緒ね、怖いから」
くすっ。
あ、ミグに笑顔が戻った。
「わかってるよ、でもリグとミヤって本当に仲がいいんだね」
「あ、あはは……ありがと」
「そろそろ、お二人も起きる頃かな?」
「あわったたた……」
慌ててミグから離れる。ミヤに見られたら怖いから……。
「くすくす、そんなにいきなり起きないよ〜」
あぅ、笑われた……。
「ほら、そろそろ起してあげて。食休みはお終い」
「あ、うん……ミヤ、ギィ、起きて起きて……」
ゆさゆさゆさ……。
ぼくは二人を起こしにかかる。
「ん……おはよぉ……」
「あ、れ?なんで寝ちゃったんだろ……?」
よし、二人とも起きた。
「さあ〜ってと、あたいはもう行きますかねっ」
「え?行くの?」
「うん、あたいがここにいてもしょうがないしね」
「ミグさんって、泥棒さんなんでしょ?何も持っていかないの?」
ぎ、ギィ……ぼくも悪かったって思ってるんだからそれは言わないで……。
「う〜ん、もう貰ったよ、ここに沢山、ね?」
そういいながらミグはお腹をさする。そ、それってまさか……。
「スープ、おいしかったよっ」
あ、そっちか……。ほっ……。
う……ミヤがこっち見てる……。何か感づかれちゃったかな?
「あ、それからこれはお礼ね」
と言ってミグが懐から取り出したのは小さな瓶。
「なに?それ?」
「あたいが作った媚薬」
「び……びや?」
「たま〜に使ってみたら?面白いかもよ?」
み、ミグぅ……。
「じゃ、また会おうねっ!リグ、ミヤ、ギィ!」
走って行っちゃった。何だか春風みたいな獣だよな、ミグって……。
本当に……また会える気がするよな、ミグとは……。




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