side-ミヤ


な〜んか、今朝からギィがおかしいんだよね。
ニヤニヤ笑っていたかと思ったら急に深刻な顔しちゃったり、泣きそうな顔になったり……。
ま、ギィっていつもおかしいから大した事無いと思うけどね。
しゃべるコウモリだし、普通に変だしね。
「!!」
「何かいるの!?」
リグに緊張が走る。ギィは野生の感って言うのかが鋭いから、何かがあるとすぐに反応する。
「うんっ!プロポレピレスだよっ!リグ、捕まえて!!」
ずるっ、危険な生き物じゃないのね……。安心した……。
生プロポレピレス……。う〜ん、やっぱり気持ちの良い生き物じゃないね……肉は美味しいけど……。
うっわ、ああやって処理するんだ……ああ、どんどん小さくなって……あれが本体……。本体は結構可愛いね。
「とりあえず、今晩の食事はコイツだな……」
「そだね、美味しいもんねっ」
う〜、今日は何だか野菜が食べたい気分なんだけどなっ……ま、もうしばらく町には戻れないし、しょうがないんだけど……。
「じゃ、少し早いけど、ミヤとギィで薪と食料の調達、お願いね」
「はいは〜いっ」
「はーい」
結構面倒くさいんだよね……ギィはあれこれ指示するだけでいいかもしれないけど……。
でも、リグってば毎日毎日楽しそうだよね。こう言う旅に昔っからあこがれていたから当然と言えば当然かもしれないけど……。
「あ、ミヤ、このキノコは食べられるよ」
ギィが呼ぶ。これ、見たことあるよね。たしか、コリエダケ、って言ったっけ……。
「これは?」
隣に大量に生えていたキノコを指してギィに聞く。
「キリルダケだね。それはダメ。毒って言うほどじゃないけど、頭が変になっちゃうよ」
「毒じゃないならいいじゃん」
あたしはそのキノコも全部袋に詰め込んだ。食べられるならそれでいいよね。
「こらこらこら〜!!」
もぅ、ギィってば神経質でうるさいんだからぁ〜。いいって言ったらいいの!
「あ〜あ、後でリグに選別してもらわなきゃ……」
あーっ、もうっ!細かいんだから!
薪も拾い集めてリュックいっぱいになったし、そろそろいいかな?
「薪はこれくらいでいいよね?じゃ、そろそろ戻ろっか?」
「そだね……」
まだ不満?いいじゃないのよさ!
「たっだいま〜」
「あ、今日は早いね〜」
「あ、リグぅ〜、ミヤってばコリエダケとキリルダケを袋の中に入れちゃったから選別してね」
「あ、そうなの……」
う〜、リグが何か苦笑いしてる……。毒じゃないって言ったのに、そんなに変なキノコなの?
「コレとコレとコレと……」
ぽいぽいぽいぽい。
凄いスピードでキノコをより分けていくリグ。う〜、私には区別がつかないよぉ〜。
「よしっと、後は鍋にぽいっ……ふたをしてじっくりと煮て……」
こんな場所での料理だから仕方ないけど、この間も食べたよね〜、このスープ……。
「ミヤ、簡易パン作るから、リュックに入っている粉を取って〜」
はいはい……。
「これ?」
「それは塩!」
「これかな?」
「砂糖だって……わざとやってる?」
む〜、わざとじゃないのに〜……。
「じゃ、これだ!」
「もうそれしか残ってないでしょ、リュックの中……」
失礼な!お酒とかいろいろ残っているよ!ま、まぁ、粉なのはこれだけだけど……。
器の中に粉を入れて、塩とお水を入れてこねてる……。ふぅん、これなら私にもできそう……。
「私、それやってみたい〜」
「え?これ、結構力いるよ?だからぼくがやるから……」
「やるのっ!」
ごねっ、こねっ、こねっ、こねっ……。
うわっ、本当に力がいる。む〜、肩から全体重をかけて……。
つるっ、べちゃ!
う、うにぃ……。粉ダンゴが頭にぃ……。
「あ〜あ、だから言ったのに……」
う〜、笑わなくってもいいじゃない〜。
でも、地面に落ちたわけじゃないから食べられるよね?ね?
で、そのこねた粉ダンゴを木の棒に刺して焼くだけ。本当にシンプル。
でも、そんなパンがあのスープと良く合うんだから不思議、不思議。
リグってあたしよりよっぽどお料理がうまいんだもん……。ちょっと落ち込み……。
お料理だけじゃない、お掃除も、お裁縫も、お洗濯もリグの方がうまい……。私って……一体……。もしかして役立たず!?
私ができること、私ができること……え〜っと、何があるんだろう……?
−でもぉ、リグが好きって獣、沢山いると思うよぉ〜?だぁってリグ、カッコ良くって優しいんだもん−
ギィの言葉……。そうだよね、リグってもてるよね……。私は?他の女の獣に勝てる部分なんて無い。
背だって高くないし、顔だってそんなに良くないし、胸だって大きくない……。
何でリグは私を選んでくれたの?幼馴染だから?わがまま言ったから?だったら私って迷惑だよね……。
くるっ、くるっ、くるっ……。
パンが焦げないようにくるくる回す。回しながらもずっと考えていた。
あのミグって女の獣、凄く可愛かったよね……。リグだってああいう獣に迫られたら悪い気しないんじゃないかな……。
私、リグと毎日エッチをやっているけど、リグは嫌々やってるのかな……。
もしかして、リグってエッチな獣は嫌い!?そんなの嫌だよ〜……。
う〜、考えれば考えるほど、思考がマイナスになっていっちゃうよ〜……。
「ミヤ!焦げてる、焦げてる!!」
え?
「わひゃ〜っ!!」
真っ黒焦げの炭状態……。私、本当にダメかも……。
「あ、あはは、中は大丈夫みたいだね、割って食べよう?この前作ったミュムのジャムもあるし」
もぐもぐもぐ……。
うぅ〜、おいしいよぉ〜。
あ〜っ、食べた、食べた。
「ごっちそうさま〜っ」
私は食べた後と、リグとエッチしている時が一番幸せだなあ……。
「あ、れ?あれれ???」
何?リグ、どうしたの?なんか、ふらふらしてるよ?
「あっちゃ、リグってば間違ってキリルダケを食べちゃったか……」
「え?え??」
「しょーがない、ミヤ、リグの世話、ちゃんとしてよ。一晩で治るから……。あと、ちゃんと火の番をして、絶対に消さないこと、いいね?」
「え?どう言う……」
「じゃ、あたしがいても何もできないから、行くね……。それからリグに変な事しないように!いいね!!」
ばさっ、ばさっ、ばさっ……。
行っちゃった……。一体何なの?どう言うこと?
そうだ!リグ!リグはどうして……。
「ミヤお姉ちゃん?」
「はい?」
リグ?え?一体……??
「ミヤお姉ちゃん、遊ぼっ、遊ぼぅ〜」
リグ、どうしちゃったの?
−キリルダケだね。それはダメ。毒って言うほどじゃないけど、頭が変になっちゃうよ−
あ、頭が……。ひ、一晩で治るのよね……。
「遊んでくれないのぉ〜?」
う、涙目……。いつもは結構大人っぽいリグが幼く見えて凄く可愛い。
「うん、いいよ。遊ぼうっ!何して遊ぶ?」
「え〜っと……かくれんぼ!」
あぅ、こんな夜に森の中でかくれんぼなんかしたら、危ない目にあっちゃうよ……。
「そ、それはちょっと……」
「じゃ、鬼ごっこ!」
「そ、それもちょっと……テントの中で遊べるのって、無い?」
「それじゃね、うんとね〜……お嫁さんごっこ!」
えと、もう夫婦なんだけど……。ま、いいか。昔よくやったよね。本当にちっちゃい頃だけど……。
「じゃ、お嫁さんごっこね」
リグがいったんテントの外に出て、又すぐに戻ってくる。
「ただいま〜」
「おかえりなさい」
子供の頃は、こんな風に帰ってくる生活を考えていたんだろうけど、今は家には帰らない旅の途中……。面白いね。
「先にお風呂にしますか?それともお食事?」
「ごはん〜」
くすっ、ご飯って、かわいいな〜。
「とん、とん、とん、とん……できましたよ〜」
「わーい、ご飯だ、ご飯〜」
くすくす、私はお料理なんてできないし、リグがいつもお料理しているのにね。
「好き嫌いしちゃいけませんよ〜」
「は〜い」
う〜ん、素直で可愛い。もっとも、好き嫌いはリグには無くて、私にはあるんだけど……。
「ごちそうさまでしたっ」
「あ〜、ちゃんと全部食べたね〜」
「えへへ〜」
得意げな顔も、やっぱり可愛い。は〜、リグって素敵だな〜。
「ねぇリグ、私のこと、好き?」
こんな状態で聞いても仕方が無いと思うけど……。こんな時じゃないと聞けない事……。
「うん、好き〜」
「どのくらい好き?」
「う〜んとね、こーんなくらい、好き〜、大好き〜」
両手を広げて大きな円を描くように腕を振る。
「ありがと、私もリグの事、大好きだよ」
そう言えば、好きって言葉、最近言った事無かったよね……。言わなくてもわかっていると思ってた。言わなくても伝わっていると思ってた。
でも、違うんだ。言葉にしただけで心が温かくなる。胸がいっぱいになる。
「どうしたの?お姉ちゃん……お腹痛いの?」
リグが私の顔を心配そうに覗き込む。
「好き、好き、好き、好き、大好き〜!!」
リグをぎゅっと抱きしめる。私の鼓動とリグの鼓動が一つになる。最近、エッチしててもこんな気持ちにはならなかった。
肌を直接触れ合っていなくてもこんなにも暖かい……。こんなにも嬉しい……。こんなにも気持ちいい……。
忘れていたドキドキを思い出す。リグとはじめて体を重ねた時はこんな感じだったって……。
「お姉ちゃん、苦しいよぉ……」
「あ、ごめん、ごめん……」
「お姉ちゃん、何で泣いてるの?ぼく、悪いことした?」
あ、いつのまにか泣いていたんだ……。カッコ悪いな……。
「何でも無いよ、リグは気にしなくてもいいから、ね?」
リグの頭をくしゃくしゃと撫でながら言う。うふふ、やっぱり優しいな、リグは。
「ねえ、お姉ちゃん、ぼくのどが乾いちゃった。何かちょうだい?」
えっと、お湯を沸かして、ハーブティーでも入れようかな?
「あ、ごめんごめん、ちょっとまっててね〜」
「うん、わかった〜」
お水を火にかけて沸かす。沸いたらその中にハーブミックスを入れる。そして、布でこしてカップに注ぎ、エッセンスオイルをたらしてでき上がり!
うん、良い香り!私は料理はできないけど、ハーブティーだったらリグより美味しく入れられる自信がある。いや、このハーブティーだけなんだけど……。
「ふわあぁ、良い香りぃ〜……」
ふふん、これ、結構高いお茶なんだよね。私のお気に入り。香りを殺さずに味を出すのって、結構難しいんだから。
「おいしぃ〜……」
「当たり前よ、私が淹れたんだから」
「お姉ちゃんすご〜い」
すごいって言われても、リグに勝てるのはこれだけなんだから……。
ずず……。
あれ?ちょっと味が違うような……。変ね?本当なら味と香りが口の中いっぱいに広がるはずなのに……。私がミスしちゃったのかな?
む〜、これだけは私の自慢できる唯一の特技だったのに……。
「お、お姉ちゃん……ぼく、ぼく変だよ。何かおかしいよぉ……」
「え!?」
リグを見ると、顔は赤く、瞳は潤み、息が荒い。
エッセンスオイルと間違えてお酒を入れちゃった!?そんなバカな、いくらリグがお酒に弱いからと言ってニ、三滴たらした程度で酔っ払うはずが無い。頭は子供になっちゃってても、体は大人なんだから。
それじゃあ、どうして……。
私は入れたエッセンスオイルの瓶を見る。
あれ?微妙にデザインが違うような……。まてよ?この瓶って……。
−なに?それ?−
−あたいが作った媚薬−
−び……びや?−
−たま〜に使ってみたら?面白いかもよ?−
……。な、何だか凄いものと間違えちゃった……。
どくん……!
な、なに?体が……アソコが熱い……。なんで?
あ、そうか、私も媚薬飲んじゃったんだ……。
くちゅっ……。
ほとんど無意識に股間に手が伸びる。何もしていないのに、もうぐしょぐしょになってる……。はぁ、切ないよぉ……。
「お、お姉ちゃん、ぼく、どうなってるの?変だよ、切ないよ、助けて、助けてよぉ……」
今のリグは自分で慰めると言うことも知らない……。このままほっておいたら本当に変になってしまう……。こうなったのも私の責任だし、何とかしなきゃ……。
って言うのは建前で、私ももう我慢できなくなって、リグにしてもらいたくなってしまっただけなんだけど……。ごめんね、リグ……。
ちゅ……。
リグを引き寄せてディープキス。
「ん……むは……。な、何、お姉ちゃん……」
リグの心の中ではディープキスも初めてなのだろう。とまどっている舌使いが逆に新鮮。
「ほら、服を脱いで、私も脱ぐから……」
私はリグの服を脱がせ、私も服を脱いだ。はじめて裸体をさらすわけじゃないのに妙に恥ずかしい……。
「リグ、私の上にまたがって……そうそう、私のここの所、舐めて……」
リグの顔を私のアソコに向かせ、リグのおちんちんは私の目の前……。シックスナインの体勢だ。
ふん、ふん、ふん……。
リグが私のアソコの匂いを嗅いでる……。私達、最近はお風呂にも入っていないから、臭うかもしれない……。
でも、その恥ずかしさとリグの鼻息が私のアソコにかかるのが程よく交わって私の胸をじらしてくれる。
ぴちゃっ。
「きゃんっ!」
痺れるような突然の快感に思わず大きな声を出してしまう。その反応が面白いのか、リグは私のアソコを執拗に舐めまわす。
「ん……」
ぺろっ……。
私もリグのおちんちんを舐めてあげる。
「ひゃぅん!!」
ビックリしたようにリグの体がはじけて私のアソコから口が離れた。
「やめないで……もっと舐めて……」
リグは素直に私のアソコを舐めまわす。私も負けずにリグのおちんちんを舐める。
徐々にリグの舌の動きが鈍くなり、代わりに熱い吐息が私のアソコにかかってくる。そろそろリグが限界に近いのかな。
「きゃ、きゃうぅんっ!!」
びゅくびゅくびゅくびゅく、びゅくっ、びゅくっ、びゅくっ……。
真っ白なリグの精液が私の顔中に降り注ぐ。
「お、お姉ちゃん、ごめんなさい……ぼく、お漏らししちゃった……」
涙目で私を見つめるリグ。可愛い。
「ううん、これはおしっこじゃないから大丈夫よ。だから泣かないで……」
「うん……」
これが今のリグにとっての初めての射精……。何だか嬉しい。
「今度はリグのおちんちんを私のここに挿れてね」
「え?だ、大丈夫?」
「これは、そう言うことをする為にあるの。だから、心配しないで、ね?」
「う、うん……」
私は仰向けのまま、リグの挿入を待った。
「ん?あ、あれ?」
初めてでよくわからないのか、なかなか入らない。そのナチュラルな焦らしが私の熱をさらに上げていく。
「ん……」
ようやく狙いが定まったらしく、リグは一気に腰を打ちつけた。
「ひぎぃっ!!そ、そこ違うぅ〜っ!!そこじゃないぃ〜っ!!」
しかし、リグは間違って私のお尻におちんちんを挿れてしまった。
ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ……。
リグは気持ちよさそうな表情で腰を激しく振る。
痛い、痛い、痛い、痛い!!
私のお尻がずきずきと痛む。
しかし、その痛みも媚薬のせいか徐々に痺れるような甘い痛みに変わっていく。
「くんっ、はぁっ、お尻、いい、お尻いい、お尻もいいのぉ〜!!」
リグが腰を一突きするたびに、お尻から頭のてっぺんまで快感が突き抜ける。
気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい!!
普通にするのとは又違った、絞めつけるような、苦しいような、ほろ苦いような、そんな快感。
「くんっ、ぼく、ぼくっ、またっ……」
「いいよっ!出してっ!!好きにしてぇ〜っ!!」
びゅくん、びゅくん、びゅくん、びゅくん、びゅくん……。
あああ、入ってくる。お尻に熱いのが入ってくる……。
「ふあぁっ!?だ、だめぇ〜っ!!」
ぷしゃああぁ〜っ……。
今までとはあまりに違った快楽に膀胱が緩んだのか、私はおしっこの噴水を撒き散らし、リグのダークブルーの毛並みを汚していった……。

すーっ、すーっ……。
隣でリグが寝ている……。気持ちよさそうな寝顔だ。
私はあのまま寝てしまったリグの体を拭き、服を着せて毛布をかけた。
私は火を絶やすわけにはいかないから眠るわけにはいかないけど、眠たくはならなかった。
「こんな退屈なこと、今まで一人でやっていたんだ……」
リグがどんな風に火の番をしていたかは知らないけど、ほとんど何もすることが無くて退屈……。
私、リグの事をよく知っていたようで全然何も知らなかったんだ……。
「リグはこんなエッチな獣、嫌い?私と結婚したこと、後悔して無い?」
返事が返って来るはずも無い。私はリグの額に軽くキスをすると、涙でかすむ瞳でじっと炎を見つめつづけた……。

朝日が昇る。陽が差してくる。
「ん……と……」
リグが起きた。大きな伸びをしてこっちを見る。
「ミヤ、ごめんね、迷惑をかけて……」
「ううん、元は悪いのは私……」
「でも、久しぶりにゆっくり眠れた気がするよ。ありがとう、ミヤ……」
しばらくの沈黙……。無言の時が胸に突き刺さる。
「あ、あのね、リグ……」
「あ、朝ご飯だね、すぐ作るから待っててね」
違うんだけど……。でも、出鼻をくじかれたせいでそれを言う勇気が無くなってしまった……。
−リグはこんなエッチな獣、嫌い?私と結婚したこと、後悔して無い?−
聞きたかったこと、言えなかったこと……。多分、リグは優しいから、違っていてもまともには答えてくれないと思う……。
でも、それでも聞きたかった……。
「あのね、ミヤ……」
リグが簡単な料理を作りながら話しかける。
「ぼくはミヤがエッチなのもひっくるめて全部、好きだよ。だって、ぼくもエッチだし……それに、本当に好きじゃなかったら結婚しようなんて言わないよ」
え!?
夜中の……聞かれていたの!?
それに、嘘じゃない。ごまかしている時のリグじゃない。
「あの、リ……」
ばさっ、ばさっ、ばさっ、ばさっ……。
「ただいまっ!」
ああ、また出鼻をくじかれた。でも、まぁいいか。聞きたかったこと、答えてくれたし。
でも、良かった……。嫌われてなくて、本当に良かった……。
「ちょうど朝ご飯だよ、ギィ。一緒に食べよう」
もぐもぐもぐ……。ちょっとしょっぱいよ、リグ……。それとも私の涙のせいかな?
「ねぇ、ミヤ。昨夜はリグに変なことしなかった?」
「え?変なことって?」
「してないならいいけどね、あのキノコで頭が変になってても、記憶はちゃんと残っているからね、変なことしてたら嫌われちゃうよ?」
げ!そう言うことは先に言ってよぉ〜!
でも、記憶が残っていると言うことは……。
私はリグにこっそりと話しかけた。
「ね、リグってば私のお尻に挿れたでしょ?媚薬のせいかもしれないけど、すっごく気持ち良かったの。だから今夜もお尻でしてね?エッチな私も好きなんでしょ?」
ぼっ、って効果音が出そうな勢いでリグの顔が真っ赤になった。そしてそのまま黙って私の手を握ってくれる。ありがとう、リグ。
私は何かに怯えることもあると思うけど、きっと立ち止まらないで歩いて行ける。
だって、大好きな人がそばにいてくれるのだから……。

Fin



戻る